Nginx(エンジンエックス)は、高性能で高い拡張性を誇るWebサーバおよびリバースプロキシサーバです。Nginxの設定は通常、設定ファイル(nginx.conf
)で行います。ここでは、Nginxの基本的な設定方法と重要なディレクティブについて説明します。
Nginxの設定ファイルは通常、以下のディレクトリに格納されています。
/etc/nginx/nginx.conf
(メイン設定ファイル)/etc/nginx/conf.d/
(追加設定ファイル)/etc/nginx/sites-available/
(仮想ホスト設定)/etc/nginx/sites-enabled/
(有効化された仮想ホスト設定)nginx.conf
の基本構成# 最上部に書く
user nginx; # サーバプロセスを実行するユーザー
worker_processes 1; # 使用するワーカープロセス数(通常はCPUコア数に合わせる)
pid /var/run/nginx.pid; # PIDファイルの保存先
# グローバルなエラーログの設定
error_log /var/log/nginx/error.log warn;
# ログ形式の設定
log_format main '$remote_addr - $remote_user [$time_local] "$request" '
'$status $body_bytes_sent "$http_referer" '
'"$http_user_agent" "$http_x_forwarded_for"';
access_log /var/log/nginx/access.log main;
# どのポートで接続を待つかを指定(通常は80や443)
http {
include /etc/nginx/mime.types; # コンテンツタイプの設定
default_type application/octet-stream;
# ディレクトリを設定
access_log /var/log/nginx/access.log;
sendfile on; # 高速転送を有効にする
tcp_nopush on;
tcp_nodelay on;
# 終了後の待機時間など
keepalive_timeout 65;
types_hash_max_size 2048;
# ここで仮想ホストを設定する(http{}内)
include /etc/nginx/conf.d/*.conf;
include /etc/nginx/sites-enabled/*;
}
Nginxでは、仮想ホストを設定することで、異なるドメインやパスに基づいて異なる設定を適用できます。通常、/etc/nginx/sites-available/
に設定ファイルを置き、/etc/nginx/sites-enabled/
にシンボリックリンクを作成することで、仮想ホストを有効にします。
例えば、example.com
というドメインをホストする設定は以下のようになります:
server {
listen 80;
server_name example.com www.example.com; # ホストするドメイン名
# ルートディレクトリを指定
root /var/www/example.com/html;
index index.html index.htm; # デフォルトで表示するファイル
# エラーページ設定
error_page 404 /404.html;
location = /404.html {
root /usr/share/nginx/html;
}
# サーバエラーログとアクセスログを指定
access_log /var/log/nginx/example.com.access.log;
error_log /var/log/nginx/example.com.error.log;
# メインのURLルーティング
location / {
try_files $uri $uri/ =404;
}
# 他の設定(静的ファイルやリダイレクトなど)
}
この設定では、example.com
へのアクセスを受け、/var/www/example.com/html
フォルダ内のファイルを配信するように指示しています。
SSL(HTTPS)接続を有効にするには、まずSSL証明書を取得してサーバに配置し、次のように設定します:
server {
listen 443 ssl;
server_name example.com www.example.com;
# SSL設定
ssl_certificate /etc/ssl/certs/example.com.crt;
ssl_certificate_key /etc/ssl/private/example.com.key;
# SSL関連の設定(セキュリティ強化のため)
ssl_protocols TLSv1.2 TLSv1.3;
ssl_ciphers 'ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256:...';
ssl_prefer_server_ciphers on;
root /var/www/example.com/html;
index index.html index.htm;
# ログとエラーページの設定
access_log /var/log/nginx/example.com.access.log;
error_log /var/log/nginx/example.com.error.log;
location / {
try_files $uri $uri/ =404;
}
}
# HTTPからHTTPSへのリダイレクト
server {
listen 80;
server_name example.com www.example.com;
return 301 https://$host$request_uri;
}
この設定では、443番ポートでSSL接続を受け入れ、HTTP(80番)からHTTPS(443番)へのリダイレクトを行っています。
Nginxはリバースプロキシサーバとしても使用できます。例えば、アプリケーションサーバ(Node.jsやPHP-FPMなど)との接続をNginxが仲介することができます。
server {
listen 80;
server_name example.com;
location / {
proxy_pass http://localhost:3000; # アプリケーションサーバ(例:Node.js)が3000番ポートで待機
proxy_http_version 1.1;
proxy_set_header Upgrade $http_upgrade;
proxy_set_header Connection 'upgrade';
proxy_set_header Host $host;
proxy_cache_bypass $http_upgrade;
}
}
この例では、Nginxがポート80でリクエストを受け、そのリクエストをローカルホストのポート3000番で待機しているアプリケーションサーバに転送しています。
Nginxは非常に高速な静的ファイルサーバとして動作します。例えば、HTMLファイルや画像ファイル、CSS、JavaScriptなどを配信する場合、次のように設定します。
server {
listen 80;
server_name example.com;
root /var/www/example.com/html; # 静的ファイルのディレクトリ
location / {
try_files $uri $uri/ =404; # リクエストされたファイルが存在しない場合は404エラー
}
# 特定のディレクトリや拡張子の設定(例えば、画像やCSSなど)
location ~* \.(jpg|jpeg|png|gif|css|js)$ {
expires 30d; # これらのファイルを30日間キャッシュする
}
}
Nginxでは、静的ファイルのキャッシュを設定することで、パフォーマンスを向上させることができます。例えば、以下のようにexpires
ディレクティブを使ってキャッシュの有効期限を設定できます。
location /images/ {
root /var/www/example.com;
expires 1y; # 画像は1年間キャッシュ
}
Nginxでは、特定のエラーコードに対してカスタムエラーページを設定することができます。例えば、404エラーのページをカスタマイズする場合、次のように設定します。
server {
listen 80;
server_name example.com;
error_page 404 /404.html; # 404エラー時に表示するページ
location = /404.html {
root /usr/share/nginx/html;
}
location / {
try_files $uri $uri/ =404;
}
}
設定を変更した後、設定にエラーがないかを確認するために、Nginxの設定テストを実行します。
sudo nginx -t # 設定ファイルのテスト
エラーがない場合、Nginxを再起動して変更を反映します。
sudo systemctl restart nginx # サービスの再起動
Nginxの設定は非常に柔軟で強力です。基本的なサーバの設定からリバースプロ