車検(車両検査)で「下回り」をチェックするのは、車両の安全性や整備状態を確認するためです。車の下回りには、運転に直接影響を与える重要な部品が多く、これらの状態を検査することは非常に重要です。下回りの検査項目は主に次のような部分がチェックされます。
1. サスペンション
- 役割:車両の走行性能や乗り心地、操縦安定性に関わる重要な部分です。
- 検査内容:
- サスペンションアーム、ショックアブソーバー(ダンパー)、スプリング、バネなどが摩耗していないか、破損していないか。
- 部品の取り付け部分にガタつきがないか、異常な音が発生していないか。
- サスペンションに関する部品が錆びていないか、オイル漏れがないか。
2. ブレーキシステム
- 役割:車両の制動能力を担う重要な部分で、走行中の安全性に直結します。
- 検査内容:
- ブレーキパッド、ディスクやドラムの摩耗状態。
- ブレーキホースやパイプに亀裂や漏れがないか、ブレーキ液の量や状態。
- ブレーキキャリパーやシリンダーの状態。
3. 排気系(エキゾーストシステム)
- 役割:エンジンから排出されるガスを処理し、車内に有害物質が入らないようにする重要な部品です。
- 検査内容:
- マフラー、触媒コンバーター(キャタライザー)や排気管に穴や腐食がないか。
- 排気系部品の取り付け部分が緩んでいないか、漏れがないか。
4. ステアリング系
- 役割:車両の方向転換を行うための重要な部分です。
- 検査内容:
- ラック・アンド・ピニオンやボールジョイントなどのステアリング部品にガタつきや摩耗がないか。
- ステアリングラックの取り付け部分やパワーステアリングのホースに漏れがないか。
5. 駆動系
- 役割:エンジンの動力を車輪に伝える役割を担います。
- 検査内容:
- ドライブシャフトやブーツに亀裂や破れがないか。
- ハブベアリングやトランスミッションのリンクに異常がないか。
- ミッションオイルやデフオイルに漏れがないか。
6. フレームとボディ
- 役割:車両の構造的な安定性を保つ部分です。
- 検査内容:
- 車両フレームにひび割れや腐食がないか。
- ボディに損傷がないか、特にサスペンションやブレーキ部品を取り付けている部分の腐食や破損の有無。
7. タイヤとホイール
- 役割:車両の接地面として、走行性能や安全性に直接影響を与える部分です。
- 検査内容:
- タイヤの摩耗具合、ひび割れ、異常な摩耗パターンがないか。
- タイヤの空気圧や、ホイールの歪みや亀裂の有無。
8. オイル漏れや液漏れ
- 役割:エンジンや各種機器が正常に動作するためには、オイルや液体が漏れていないことが重要です。
- 検査内容:
- エンジンオイル、トランスミッションオイル、冷却水(クーラント)などが漏れていないか。
- ブレーキ液やパワーステアリングオイルの漏れの確認。
9. フューエルシステム(燃料系)
- 役割:エンジンに燃料を供給するためのシステムです。
- 検査内容:
- ガソリンタンクや燃料ホースに亀裂や漏れがないか。
- 燃料ポンプの状態や燃料供給に異常がないか。
10. その他の部品
- 防錆・防振材:車両の下部に取り付けられた防錆材や防振材が剥がれていないか、劣化していないか。
- サイドシル(車体の側面にある部品)が腐食していないか。
下回りの検査方法
- 目視検査:車両をジャッキアップし、車両の下部を目視でチェックします。
- 液漏れの確認:床にオイルや液体が漏れていないか、跡を確認します。
- 手で触っての確認:部品にガタつきや異常な音がないか、手で触れて確認することもあります。
- 専門的な機器を使用した検査:高精度なチェックが必要な場合には、検査機器を使って部品の状態を測定することもあります。
まとめ
車検時の下回りの検査は、安全性を確保するために非常に重要です。サスペンションやブレーキ、駆動系、排気系、タイヤなど、車両の走行に関連するすべての部品がしっかりと機能しているか、損傷や摩耗がないかを確認します。これらの部品に不具合があると、走行性能や安全性に大きな影響を及ぼすため、車検でしっかりとチェックされます。